嫌好の日記

心に思い浮かぶことを、ろくに本も読まずに書いた雑記帳です。従って、たいそう訳の分からないことも多いでしょうが、暖かい目で見てやってください。

平成VS昭和

 元号が変わることもあって、平成史に関する議論が盛んになっている。平成という時代とよく比較されるのは昭和である。テレビ番組では平成世代と昭和世代がクイズや議論で対決するようなスタイルも多い。さて、私は平成生まれの若輩者で昭和がどのような時代だったを肌で感じたわけではない。しかし、少し思うところがあったので書こうと思う。

 

父親やテレビの昭和俳優がしばしば「昭和は良かった」とごちているのを聞く。これはもちろん、平成と比べてという枕詞がつくのだろう。ここで私の意見を明示すると、「平成の方が良かったに決まっている。」

 

思うに、昭和が良いという人々は昭和の良い面ばかりを見る一方で、平成の悪い面ばかりを見ているのではないか。昭和はまず戦争があった。太平洋戦争では多数の民間人を含む300万人以上に日本人が殺された。戦争で苦しんだ人の数は計り知れない。ただこれだけで、昭和という時代は平成に勝てないと思う。昭和俳優のいう「昭和」に戦争の歴史は含まれているのだろうか?彼らはこういう昭和の負の面を切り捨て、経済成長という側面のみを見ているように思えてならないのだ。

 

戦争を抜きにしても昭和という時代は良いとは思えない。客観的に見て、昭和という時代は平成に比べて、衛生・モラルといった側面で大きく劣っている。驚いたことに、電車内でタバコを吸えたということではないか。新宿は今よりもずっと汚らしく、学校では体罰があふれていたという。もちろん現在の体罰への過剰なまでの反応を良いとは思わないが、体罰を是とする社会を良いとも思わない。不良や暴力も多かったというし、飲酒に関するマナーも今よりも緩かったという。政治に関しても、国語の先生に聞いた話では、今よりもずっと汚職が横行していたという。

 

確かに平成という時代、日本は経済成長を終えた。先の見えない不況が続いた。しかし、それでもGDPは3位であり、一人当たりでみても25位あたりである。世界の平均と比べて決して悪い数字ではない。そして、なによりも平成は平和であった。もちろん、イラク戦争ソマリアなどに多少の自衛隊派遣はあったが、日本全体が巻き込まれる戦争は起きなかった。これだけでも昭和を上回ったといえる。加えて、衛生やモラルの面で平成は大きく進歩した。まだまだ不十分な部分が多いが、暴力にはいっそう厳しくなったし、酒・タバコといった人間に害をなすものへの風当たりも強くなった。これをつまらない、寂しいなどという人がいるが、なによりも優先すべきは健康と安全なのは明白である。政治もまだまだ汚職は見られるが、昭和に比べてマシになったという。新宿の街並みもずっときれいになったという。もしかしたら、平成という時代は日本国開闢以来でもっとも素晴らしい時代であったかもしれない。格差はまだまだ多いとはいえど、餓死者はほとんどいないという。平和でかつ食料に困らないというのは奇跡のような状態である。対外的に平和であった江戸時代は多くの農民が飢餓に苦しんでいた。食料生産の安定した大正・昭和は戦争があった。終始一貫して平和・飽食を満たしたのは平成だけだろう。

 

結局、平成を貶すものは、ただ「経済成長」の一点のみを見ているのだ。つまり、彼らにとって大切なのは平和ではなく「お金儲け」なのだ。そう思わずして、どうして昭和が平成よりも良いと言えるのか。